飲めば片頭痛が減る!けど高い!!

こんにちは。今日は、2025年12月に日本で登場したばかりの新薬**「ナルティーク」をはじめとする、最新の片頭痛治療薬「ゲパント」**についてお話しします。

「今までの薬と何が違うの?」「本当に効くの?」という疑問に、最新の医学的データ(エビデンス)を交えてお答えしますね。


1. ゲパントの仕組み:痛みのスイッチをオフにする

片頭痛の痛みの原因物質といわれる「CGRP」。ゲパントは、この物質が神経に情報を伝える「受容体(キャッチする場所)」をブロックすることで、痛みの発生を根本近くから抑えます。

2. 数字で見る!ゲパントの効果(エビデンス)

「本当に効くの?」という点について、世界的に信頼されている医学雑誌に掲載されたデータをご紹介します。

① ナルティーク(一般名:リメゲパント)

日本で初めて「頓服(痛い時)」と「予防」の両方で承認されたお薬です。

  • 痛くなった時の効果(急性期治療)臨床試験において、服用から2時間後に痛みが完全に消えた人の割合は、偽薬(プラセボ)よりも有意に高いことが証明されています。[データ] ナルティーク群 21.2% vs 偽薬群 10.9% (Lancet, 2019)
  • 起こさないための効果(予防療法)1日おきに服用することで、1ヶ月あたりの片頭痛日数が平均で4.3日減少しました。[データ] 1ヶ月の片頭痛日数が半分以下になった人の割合:49.1% (Lancet, 2021)

② アトゲパント

こちらは毎日1回飲む「予防専用」のお薬です。

  • 予防効果の高さ3ヶ月間の服用で、1ヶ月あたりの片頭痛日数を大幅に減らすことが示されています。[データ] 1ヶ月の片頭痛日数が平均で約3〜4日減少。半数以上の人で頭痛の日数が半分以下になりました。(NEJM, 2021)

3. メリットと「血管」への安全性

従来のトリプタン系薬剤との最大の違いは、**「血管を収縮させない」**という点です。

トリプタンは血管を収縮させる作用があるため、心筋梗塞や脳梗塞の既往がある方には使えませんでした。しかし、ゲパントはこの制限がないため、これまでお薬を諦めていた方にとっても新しい選択肢となります。


4. 正直に伝えます、費用のお話

最新のお薬であるため、どうしても薬価(お薬の値段)は高くなってしまいます。

お薬名1錠の薬価3割負担の場合(1錠/1日)
ナルティーク2,923.20円約880円
アトゲパント不明不明

※2025年12月時点の薬価。別途、診察料・処方箋料などがかかります。

「1錠880円」と聞くと驚かれるかもしれませんが、**「1回の服用でしっかり動けるようになる時間」**を買うという考え方もあります。また、予防として使う場合は、付加給付金や高額療養費制度などの対象になるケースもありますので、ぜひご相談ください。


5. まとめ

ゲパントは、エビデンスに基づいた高い効果と、これまでにない安全性を兼ね備えた「片頭痛治療の革命」とも言えるお薬です。

「今の治療で満足できていない」「費用面が心配」など、どんな小さなことでも構いません。あなたに最適な治療を一緒に探していきましょう!

Croop R, et al. Lancet. 2019;394:737-745. (リメゲパント急性期)

Croop R, et al. Lancet. 2021;397:51-60. (リメゲパント予防)

Goadsby PJ, et al. N Engl J Med. 2021;385:695-706. (アトゲパント)

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